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2010. 08. 16  
書評で見て飛びついた。だって古書ですよ。歴史ミステリーですよ。
原著がすっごい売れたと聞いたら、期待もしようってもんです。
……まぁ、私の考えが甘かったんですがね。

古書の来歴古書の来歴
(2010/01/21)
ジェラルディン ブルックス

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1894年にサラエボで発見された古書はそれまでの美術史を塗り替えた。サラエボ・ハガター。それは15世紀にスペインで手書きされたヘブライ語の稀少本。他に例を見ない美しい細密画の描かれた、ユダヤ教の出エジプトを語るための本。サラエボで発見された後、本はさらに第二次世界大戦とボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を潜り抜けた。どちらもユダヤ教徒ではなくイスラム教徒によって隠され守られた。以上は事実だ。サラエボ・ハガターは実在する。
フィクションである物語は、本を修復するために呼ばれたハンナが、その過程で見つけ出した手がかりを現代で追うパートと、手がかりが本に付着した経緯を交互に語る。蝶の羽、ワインの染み、塩の結晶、白い毛、消えた銀の留め金。サラエボで、ウィーンで、ヴェネチアで、セビリアで、本はあまたの人の手を、苦難を経て来た。

楽しげにワクワクしてこの本を手に取った自分をどつきたくなる。
ちょっと考えればわかる事だ。だってユダヤの古書だもの、その500年の歴史なんて推して知るべし。ミステリーではあるのだけど、覚悟が足りなくて暗澹とした気分になる。迫害・焚書、流浪。死と暴力。作者が訴えたいのは原題の「People of the Book」の通り、この本を生かしてきた人々。逆境に曝される彼らが生きるための小さな希望。それもわかる。でもどうしょうもない人々が多いし、読んでいて楽しいってのは無かった。様々な知識は増えるのだけど。

過去パートの状況はどれも厳しい。ユダヤ人の長い受難の歴史そのものだからしょうがないのか。だけど出てくる登場人物もちょっとどうかと思う人が多い。それは人種も宗教も関係なく。なんだってそんな設定?って思うのが多い。たまたま当時の資料があったとか? そもそも主人公のハンナにも感情移入どころか、ちょっと引く。私は男を選んでるとか、後で言われても説得力ゼロだよw 彼女のお母さんとの確執を追う必要性もよくわからない。過去パートからユダヤ・キリスト・イスラムの対立や協調を書くのなら、ハンナ母子も決裂で終わるべきではないのでは? そりゃ現実問題は大抵決裂するし、分かりあえない事も多いが故に今も昔も殺し合ってきたのだけど。焦点を絞っても良いのじゃない?

著者は各地の紛争地で特派員をしていたという。で、本書の中にサラエボ市民の言葉として「……紛争など起きるはずがなかった。この町の住人は充分に知的で充分に冷静だから戦うはずがないと思ってた。(中略)国際社会が止めてくれると思ってたんだ。(中略)世界が一致団結して助けてくれるって」というのがあった。似た言葉を読んだ覚えがある。「ユダヤ人を救った動物園」だ。同じユダヤ人迫害を扱ってるので被るところが多かったし、今回の理解の役立った。でも上記の言葉を思い出すと、大戦から50年経った現在でも何も変わってはいなかったことが怖ろしい。国連も世界も止めてくれたりしない。これはイラクでも聞いたな。狂気は走り出したら止められない。

中表紙を開くとあるのは「すべての学芸員に捧げる」次のページに有るのは「書物が焼かれるところでは最後には人も焼かれる」というハインリッヒ・ハイネの引用。これは昔初めて知った時も本当にね、と思った。地中海周辺地域の歴史は大層ややこしい。大きな出来事しか知らないんだなぁと改めて思った。国・民族・宗教、括りはさまざまで、それらがどれも相互に作用し合って歴史を刻んできた。正直わけがわからん… とりあえず日本よりはよっぽどややこしいのは確実。こういう地域で生き残るって大変だったんだろうなとか思う。あ、今もか。

科学捜査って程でもないし、それぞれのエピソードがほとんど全部好きじゃない。でも興味深いのでなんとか読了。実物はとても見てみたい。サラエボに行くことなど無いだろうけど。
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雪下千里 (ゆきもとせんり)

Author:雪下千里 (ゆきもとせんり)
暇があれば本を手に取る。無くても手にとって寝不足でフラフラしてたり。
最近はアニメを見るのにハマリ気味。読書より時間を費やしているかも…

+*+*+*+好きな本+*+*+*+
上橋菜穂子「守り人」「獣の奏者」
小野不由美「十二国記」
田郁
荻原規子
伊坂幸太郎
シリーズものとか長編好き。

+*+*+*+好きなDVD+*+*+*+
「ショーシャンクの空に」
「アメリ」
「バタフライエフェクト」
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宮崎アニメだと
ラピュタ>ナウシカ>もののけ>千尋…
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