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2011. 04. 25  
夭逝したSF作家の最後の長編。
この作品、最近ニュースになっていた。日本のSFがアメリカの著名なSF賞を受賞したと言って。
本当にね、これほどの作品を創れる人がもう既に居ないなんて。なんて惜しい。

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
(2010/12/08)
伊藤 計劃

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21世紀の前半に起こった「大災禍」 北米で起こった混乱の末に、原子爆弾が世界中で炸裂し、放射能とそれによる突然変異ウィルスに見舞われた人類。滅亡に瀕した彼らが生き残るために選んだのは高度な福祉厚生社会。人々はWatchMeと呼ばれる医療分子を体内に入れ、システムの常時監視によって病はほぼ駆逐された。21世紀後半、その優しさあふれる社会に反逆するために餓死しようとした3人の少女。彼らの中心でカリスマ性を持った少女・御冷ミァハはやりとげた。霧慧トァンと零下堂キアンは失敗した。その事件を決して忘れることはなかった二人がそれぞれに折り合いをつけて大人となった13年後、事件は起こる。WHOの螺旋監察官となったトァンはそこに死んだはずのミァハの影を見る。ユートピアの行きつく先は。

真っ白な表紙、シンプルな文字。それはその中身、話にとても合っていると思う。この話では様々な色が印象的。ほとんどが計算され尽くした、極めて人工的な色。その目的はただひとつ。
過剰に優しい社会。全てが公である社会。世間からはみ出さずにいられなかったトァンの息苦しさが現代人にはよくわかる。耐えらんないよ。
この話は「虐殺器官」と対になる物語。大災禍は「虐殺器官」で描かれたことの結果だ。そしてその行き着いた先は、人類が持つ残虐性に絶望した人々が、真逆を目指して作り上げたこの世界。ユートピアであるはずなのに自殺者が増えてしまう社会。押し付けがましい優しさは恐ろしくさえある。多分、人はこういうのに息が詰まる。ぞっとする。協力し合うのも人ならば、自己中心的なのも人だから。この社会にすんなりと順応できないトァンは私たちと立ち位置が等しい。ミァハはその先に立っていたのかな。彼女は明らかになるにつれ、驚きが増す。衝撃的だ。

世界を揺るがす大事件に、個人的な理由から探りを入れ、核心に迫っていく。ミステリーとしてもとても面白い。トァンの視点によって過去と現在を行き来しながら、この世界が露わになる様は面白かった。しかも話のラインは私の予想からは外れたところに辿り着いた。間違いなくSFでそれも面白いのだけど、主題は人間性とか人の心=意識だ。
一週間ほど前には読み終わっていたのだけれど、読んでる最中はいろんなタイミングが合っていて、あぁこれは今読むべき本だったと思った。この国は戦後半世紀を経てまた放射能に悩んでいるしね。ハーモニー。それは美しいものだ。そう、これはある意味では美しい結論を見た話だ。作者が得た結論を私は否定できない。でも、私はトァンのいう「老人たち」にあたる世界の人間なので、彼女のようには納得できない。心情的に。論理的には納得できる。そうなることに不自然を感じない。だけどやはり多くの人は私同様に、それを望まないだろうな。
昔読んだ本で、意識というのは生まれてからまだ数千年しか経ってないんじゃないかという説があったのを思い出した。今回の話とも通じる部分はかなりある。意識の有無で人はどう変わるのかって。死の何が怖いって、こうやって思考することができないって事だと思うのに、これがなかったら人はどう生きるのだろう。それでも普通に生きるのか。想像できない。

しかしなんで疑問文の文末が「……」なんだろ?読みにくい。ナウシカとハルヒっぽい小ネタはちょっと笑った。他にも気付かなかっただけでまだあったのかな?

病のない世界が書かれたのは病院のベッドの上だという。切ない。そこから生まれたものがこんなにも面白いってのもなんだか遣る瀬無い。もっとこの人の書く話が読みたかった。

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2011. 04. 09  
もうこのシリーズは私の中では傑作入りだ。
すごい。胸に迫る。話も面白い。もう本当になんでこんなにすごいの!?
期限のある図書館の本を先に消化していたので、この本を読みたくて読みたくて。今じゃ発売されると本屋の店頭に山積みされている。そうだよね、当然さ。これ傑作だもの。

小夜しぐれ (みをつくし料理帖)小夜しぐれ (みをつくし料理帖)
(2011/03/15)
高田 郁

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「迷い蟹 浅蜊の御神酒蒸し」
つる家の店主・種市と、店の名となった亡くなった娘の物語。種市の悲嘆と後悔の元が明らかに。実際やりきれない。復讐しようとする種市とその顛末も。ずるいなぁ、ずるいよ、なんだよそれ。人は悲しみに蓋をして生きていける。でもその蓋が外れることはあるのだ。蓋の中身をなくすことはできないから、その時はぶり返して苦しまずにいられない。受け入れざるを得ない物事ってなんて残酷なんだろう。でも人にはそれができてしまう。それすらも時に悲しい。

「夢宵桜 菜の花尽くし」
吉原の翁屋で花見の料理を作ることになった澪。普段は庶民のための料理をつる屋で作っているが、吉原で上客をもてなすため、となると勝手が違い、メニューに頭を悩ませる。小松原と源斉の発言からヒントをつかむ。菜の花の扱いが今と全く違うのに驚く。大坂が産地だったことも知らず。へぇぇ。翁屋の楼主の提案は、太夫を身請けしたいと願う澪に、その可能性を示す。

「小夜しぐれ 寿ぎ膳」
源斉に想いを寄せる美緒にまた縁談が。拒否して家出を決行した美緒と澪達つる家の一行は浅草参りへ。そこで芳と澪は生死不明だった左兵衛を目撃する。治りの悪い指の診断を源斉に仰ぐ澪。その二人を見た美緒はついに決断を下す。乾物の鰊をもどすのに一週間とか気が長すぎる…今でも京都でにしんそばってあるから、そういうの知ってはいたけど。形式よりも心に残る膳、良いなぁそういうの。

「嘉祥 ひとくち宝珠」
小野寺数馬って誰だろうとか思ってしまった(笑) シリーズ初の一篇丸ごと小松原視点のお話。幕府が大量の菓子を配る行事・嘉祥。その一品を考案することになり苦闘する小野寺。甘いもの苦手なのにw いつもとは逆に澪にヒントをもらって菓子作りにチャレンジ。小野寺家の女傑たちが面白い。母親は前に登場していたけど、妹・早帆もまた強力というかキャラが濃い。澪とのフラグは折れたと思ってたけれど、この妹なら何かしそうで期待がもてる。夜中に兄妹で菓子を作りながらおしゃべりってなんか和む。楽しそうな小野寺がいいな。

今回は春のメニューが目白押し。季節がぴったりでヨダレがっ… 菜の花好きだよ。おいしいよ。浅蜊もいいよね。桜の香りも素敵だ。あぁお腹がすいてくる。和食食べたい。
澪がモテモテなのに本人が一切気づいてないのが美味しい。全然気づいてもらえない源斉はやっぱりちょっと哀れ。周りは気づいてるってのに。身分が立ちふさがる小松原とは心を封じたり、自分の心に気づかぬふりをしてみたり。早帆がどう出るかとても気になる。
そして、料理人としての澪の行く末も。天満一兆庵の再建も、野江の身請けも可能性を目にしたり。うーん、すごいなそんな手があったのか。指の問題はあるけど、左兵衛が帰ってくるなら話はまた変わるだろうし。でもつる家も到底捨てられない。ねぇどうするの? 誰もが幸せになってほしいのに。
こんなにもいろんな感情に訴えてくる本ってそうそうない。あぁ読んでよかった。でも、これまた次は半年後? く、苦しいよ~
2011. 04. 07  
「四畳半神話大系」の続編的なもの、かな。ちょっと違う気もする。

四畳半王国見聞録四畳半王国見聞録
(2011/01/28)
森見 登美彦

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四畳半に閉じこもる阿呆学生たちのオムニバス。森見作品のリンクの数々。

正直、「神話大系」は作者の作品の中ではそんなに好きな方でもない。アニメ版の方が好きだったくらいで。
阿呆を極める学生たちがおもしろい。全体のストーリーとしてはあんまりまとまりもなく、散漫な感じ。森見節は効いてて楽しい。
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プロフィール

雪下千里 (ゆきもとせんり)

Author:雪下千里 (ゆきもとせんり)
暇があれば本を手に取る。無くても手にとって寝不足でフラフラしてたり。
最近はアニメを見るのにハマリ気味。読書より時間を費やしているかも…

+*+*+*+好きな本+*+*+*+
上橋菜穂子「守り人」「獣の奏者」
小野不由美「十二国記」
田郁
荻原規子
伊坂幸太郎
シリーズものとか長編好き。

+*+*+*+好きなDVD+*+*+*+
「ショーシャンクの空に」
「アメリ」
「バタフライエフェクト」
「有頂天ホテル」
「運動靴と赤い金魚」
宮崎アニメだと
ラピュタ>ナウシカ>もののけ>千尋…
↑とりあえず思いついたものだけ

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